- 2014-10-16 (木)
- 交渉術
- 編集
少し前になりますが、NPO法人日本交渉協会にて交渉アナリスト1級という資格を取得しました。
私が交渉について興味を持ったのは神戸大学大学院の授業で交渉の授業があり、欧米ではビジネススクールでも積極的に取り入れられていることを知ってからになります。担当の奥村先生はミンツバーグの翻訳でも有名ですが、交渉に関する書籍の翻訳も多数なさっており、長文のケースを読んで実際に交渉を行うというタフな講義でした。
交渉アナリスト1級の試験は事前に出された課題に対するレポート提出と筆記試験でしたが、単に交渉に関する知識だけではなく、交渉に対する自分の考え方や心のあり方なども問われるものでした。相手を打ち負かすスキルだけ学べば良いのではなく、その後の人間関係を見据え、いかに良好な関係を保つかが大切だと思います。
昨日の日本経済新聞に、日本触媒の池田社長が若い頃に海外で苦労をされた、契約交渉に関する記事が出ていましたが、アメリカでの交渉で最も難航したのは「別れ方」だと仰ってました。池田さんによりますと、契約書にはあらゆる場合に事細かな条項があり、「ここまでしないと欧米では通用しないのか」と思われたそうです。その後、インドネシアでの契約交渉では、失敗もあったが何よりも大事な別れ方を決めておけば恐れることは何もなかったそうです。アメリカで学んだ交渉術(というか腹の据え方)は社長となった今でも生きていると仰ってます。
私はこの記事を読んで、私たちが交渉を学ぶの際は契約を成立させるための交渉に焦点が向きがちですが、その時に❝いかに分かれるか❞ということにも目を向け、不利にならないような別れ方をするということまで視野に入れた交渉をしなければいけないということが大切だと思いました。どうしても目先の契約締結に意識が向いてしまい、その後のことは何とかなるだろうと甘く考えていると最終的にこちらが大きな損害を負うこともあるということを肝に銘じなければいけませんし、交渉術とはここまで考えるものだと認識をさせられました。
- 次の記事へ: MBA教育を考える
- 前の記事へ: 企業と人材にコラムを掲載いただきました