人材育成のゴールを明確にする

人材育成のゴールを明確にする

  • 2015-01-18 (日)
  • マネジメント・ラーニング
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「人材育成はどんな人材に育てたいかゴールを明確にする」というのは当然のことですが、実際に企業に入って仕事をしていると多くの企業がゴールが明確でなかったり、ゴールがあっても知っているのは担当者だけということがあります。

昨年から手掛けてきた大型の人材育成プロジェクトがいくつか終わりを迎えるのですが、まさしくこのような状況に直面します。中堅社員や管理職を対象に、問題解決・マーケティング・経営戦略などのいくつかの研修を実施し、様々な課題をこなしながら、最後は経営陣に対するプレゼンテーションで成果報告を行うのですが、その時にいかにゴールが共有されていないかが良く分かります。成果発表会には社長をはじめとする経営陣が並び、受講生は緊張しながらも立派に発表をします。ところが発表が終わると、経営陣から厳ししいコメントが飛んできて、受講生が委縮してしまいます。例えば、経営企画担当役員からは、「数字の根拠を示せ」「君の言うキャッシュフローの意味は何だ」と細かい質問が飛んできますし、人事の担当役員からは「それを実行したら組合対応はどうなるのか」という質問まで飛んできます。各役員は「してやったり」と、表情は得意気なのですが、私はこのような役員の方々を見ると、その会社のことが心配になります。なぜならば、役員から出てくる質問のレベルは、そもそも受講生に求められていないことが多いからです。社員教育は階層に応じた目標、つまり、せめてこのレベルにはなって欲しいという姿が階層ごとにあります。成果発表会ではその階層に求められるレベルになっているかを経営陣が評価しなければならないのですが、そもそも、その目標を経営陣が全く知らないため、自分勝手な期待水準を成果発表会で述べられます。これは人材育成のゴールを明確にしていない経営陣側に問題があるか、経営陣にゴールを伝えていない人事の担当者側の問題が考えられます。これでは長期にわたって研修や課題に取り組んできた受講生が気の毒になってしまいます。

当然のことですが、責任の一旦は私にもあります。私のようなコンサルタントの場合、直接お話をするのは人事のご担当者が多いのですが、目的やゴールを明確にして、経営陣との連携も十分にとるよう促さないといけません。年々社員教育のご相談が多くなってきていますので、この点を改めて私自身にも言い聞かせたいと思います。