日本企業の世界戦略を考える

日本企業の世界戦略を考える

  • 2013-12-13 (金)
  • 経営
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NHKの番組「島耕作のアジア立志伝」シンポジウムの公開パネル討論を見てきました。漫画家の弘兼憲史、作家の江上剛、ヤマハ発動機の柳弘之社長、タイの巨大企業CPグループのタニン・チャラワノン会長、アラブ首長国連邦DPワールドのスルタン・ビン・スレイヤム会長により「世界と戦う日本の長期戦略とは?」について活発な討議がなされました。 中国投資の先駆者であるタニンさんは「危機とは危険だけではなく、機会すなわちチャンスでもある」と述べ、誰も投資をしない危険な時にあえて投資をするという風険投資で急成長を遂げたことで知られます。タニンさんによると成功するためには「三者の利益」を考えることが重要だと述べておられました。1つ目は投資した国の政府の税収が増え政府の利益になること、2つ目は住民の利益になること、そうすれば3つ目として自ずと自社の利益が増えるという考えです。シンポジウムではWIN WIN関係と訳されてましたが、WIN WIN WINの関係とも言えると思います。江上さんは日本では近江商人の思想に「三方良し」という言葉を紹介され、日本でも「売り手よし、買い手よし、世間よし」の考えが「三者の利益」に通じるのではと仰ってましたが、まさしくその通りだと思いました。スルタンさんはドバイの産油が将来的に枯渇することを見据え、石油に頼らない競争力のある国を目指して外国資本を呼び込む大胆な優遇政策でドバイを世界の中心にすえた立役者として有名です。スルタンさんは何度も経営の危機に直面しましたが、「危機が永遠に続くことはない」と積極的に海外への投資も行いリスクを分散させてきました。スルタンさんは「日本も危機の時こそ積極果敢に攻めるべきだ」と述べておられました。話題は日本企業が世界で成功するためにはどうすれば良いのかという議論に及び大変勉強になりましたが、最後に弘兼さんが仰った言葉が印象的でした。弘兼さんは「日本のビジネスパーソンは実は世界からは好かれている。これからも好かれる日本人になろう」と述べ、変えるべきことは変え、守るべきことは守ることが重要であると思いました。本番組はNHK-BS1で平成26年1月2日21時から放映されます。お時間のある人はぜひご覧になってください。